尖閣諸島の自然

尖閣諸島の空に舞う鳥たち

左:発見されたアホウドリ  右:カツオドリ

鳥類目次

(棲息・渡りの別なく旅鳥・留鳥など全ての関係鳥を含む。
また過去の存在や可能性があるものも「参考」として含めた)
−あ行−
−は行−
01 アオサギ 23 ハッカチョウ
02 アオツラカツオドリ 24 バン
03 アカアシカツオドリ 25 ヒメクイナ
04 アホウドリ 26 ヒヨドリ
05 アマサギ 27 ホトトギス
06 オオアジサシ ホオジロセキレイ
07 オオミズナギトリ
アカモズ
−ま行−
エゾビタキ 28 マガモ
−か行−
29 マミジロアジサシ
08 カシラダカ 30 ミサゴ
09 カツオドリ 31 ムクドリ
10 カラスバト 32 メジロ
11 キアシシギ
12 キセキレイ
13 クロアシアホウドリ
−や行−
14 クロアジサシ 33 ヨナクニカラスバト
15 コアホウドリ(参考) 34 ヨナクニヒヨドリ
−さ行−
−ら行−
16 シマアカモズ 35 リュウキュウカラスバト
17 スズメ 36 リュウキュウキジバト
18 セグロアジサシ 37 リュウキュウツバメ
38 リュウキュウヒヨドリ
39 リュウキュウメジロ
−た行− 40 リュウキュウヨシゴイ
19 ツバメ 41
20 ツバメチドリ
21 ツミ
−わ行−
42 ワタリアホウドリ(参考)
−な行−
22 ニワトリ(絶滅か?)

※1 失われいく尖閣諸島の海鳥 「高良鉄夫著沖縄の秘境を探る」
※2 アホウドリ再発見 長崎新聞
※3 尖閣諸島のアホウドリについて 「高良鉄夫著沖縄の秘境を探る」
※4 「アホウドリ復活の軌跡」より 長谷川博東邦大学生物学科教授








失われ行く海鳥
「沖縄の秘境を探る」高良鉄夫著より

 第四次調査から六年目、私が見た南北両小島の形相は、生気がなく、さらに変貌の一途を
たどっている。南北両小島間の水道には、およそ二〇隻の外国船が停泊しており、船の数は
昭和三十八年五月と比較して著しくふえている。多くは漁獲を目的とした漁船であるが、そ
の中の数隻は、漁船の形はしているものの、甲板上には多くの卵カゴや鳥カゴを積んであ
る。さきはど島の様子が怪しいと述べたことは、この漁船団と南小島に見られる人々の動き
なのである。
 私ども調査船の図南丸が近づくと、多くの漁船は煙突からボンボン白い煙を吹かしながら
去って行く。どこへ行くのだろうか。行く先を見ると、ほとんどの漁船が黄尾島の方面へ進
んでいる。鳥カゴを載せた漁船はイカリを下したまま。南北両小島を双眼鏡でのぞくと、漁
夫が海鳥を乱獲しているのが手にとるように見える。
 南小島の北東岸に、大きな難破船が見える。その船は沖合いからながめると、まるで海浜
のホテルに思えた。私どもは南小島の北東岸に上陸した。台湾漁夫が船を解体している。聞
くところによると、二年前に座礁した一万トンのパナマ船のスクラップをとるために、約六
〇人の作業員がテント生活をしているという。
 南小島の東低平地全面は、前に述べたように元来、セグロアジサシの群集地である。明治
四十三年の写真を見ると、およそ三十センチ置きに、それぞれなわ張りを守っており、それ
が低平地全面をおおいかぶせている。昭和二十七〜二十八年にかけては、多くのセグロアジ
サシが見られた。しかし、昔ほどの壮観さはなかった。第五次調査(昭和四十三年) で
は、様相がすっかり変わり、セグロアジサシの姿は全く見られない。低平地には明らかに人
間の通路跡が残されており、乱獲のはげしさを物語っている。南小島の北岸から双眼鏡で北
小島をながめると、南小島同様に人間の通路があちこちに見られる。
 昭和二十八年の南小島の海鳥は、およそ五〇万羽と推定、昭和三十八年には三五万羽、昭
和四十三年には一万羽に激減した。人間が寄りつけない岩棚に生息しているものだけが危機
をのがれているようだ。
 北小島の海鳥は、昭和二十八年には一〇〇万羽と推定、昭和三十八年には、およそ五〇万
羽に減じ、昭和四十三年の第五次調査では一〇万羽に減少した。
 最近の尖閣列島は、どのように変わったのであろうか。聞くところによると廃油ボールが
岩場にこびりついているといい、海鳥の数もさらに著しく減っているようだ。絶海の孤島尖
閣列島にも年々公害と自然破壊の波は押し寄せつつある。

「沖縄の秘境を探る」高良鉄夫著・沖縄新報社、114−116頁、第四章アホウドリ見た
り聞いたり【失われ行く海鳥】)





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