尖閣諸島の自然


尖閣諸島近海の鉱物


海底の温泉:沖縄トラフ熱水活動の化学的特徴
http://www.museum.kyushu-u.ac.jp/PLANET/09/09-1.html





図2 海底温泉における熱水の動き(出典:ウッズホール海洋研究所)
 海底から噴出する熱水は、もともと海水が海底にしみこんだものがマグマに加熱されて上昇して
きたものだと考えられています。 



写真1 海底熱水噴出孔から熱水を採取する(出典:海洋科学技術センター)
 潜水艇のアームで噴出孔に採水口を近づけて、熱水をポンプで試料容器にひきこみ持ち帰りま
す。 
http://www.museum.kyushu-u.ac.jp/PLANET/09/09-1.html




沖縄トラフ伊平屋北部海丘における
熱水性硫化物・硫酸塩鉱床の鉱物・鉱床・地球化学的研究
岡山大学大学院 自然科学研究科
41413202 玉木 悟史
沖縄トラフは,琉球諸島の大陸側の東シナ海に位置し,フィリピン海プレートのユーラシアプレ
ート下への沈み込みによって形成した活動的な大陸地殻内の背弧海盆である.本研究で取り扱った
鉱石試料は,中部沖縄トラフに位置する伊平屋北部海丘(水深約1000m)の海底熱水系から“しん
かい2000”を用いた潜航・航海調査で採取された.また,伊平屋北部海丘から約55km 南南東に位
置する伊是名海穴(水深約1400m)からグラブによって採取された鉱石試料を比較検討した.本研
究は,これら硫化物・硫酸塩鉱石試料の鉱物・鉱床・地球化学的研究から,塊状硫化物鉱床の形成
メカニズム,および沖縄トラフにおける海底熱水系の特性を解明することを目的としている.
伊平屋北部海丘の鉱石試料は,多量の閃亜鉛鉱を含み,次いで黄銅鉱,方鉛鉱,黄鉄鉱,白鉄鉱
が多く産する.また,四面銅鉱,銅藍,ヌクンダム鉱,斑銅鉱,硫砒銅鉱が認められる.硫酸塩鉱
物としては,重晶石,硬石膏,硫酸鉛鉱が認められる.一方,伊是名海穴の鉱石試料は,閃亜鉛
鉱,
磁硫鉄鉱を多く含み,白鉄鉱,キューバ鉱,アイソキューバ鉱(黄銅鉱の離溶ラメラを含む),方
鉛鉱,黄鉄鉱からなる.硫酸塩鉱物では,重晶石,硫酸鉛鉱が産出する.
伊平屋北部海丘における閃亜鉛鉱は,多様な鉱物共生関係・組織を呈し,1.0〜14.7 mol % FeS(平
均5.2 mol %)を含む.海嶺熱水系と比較すると,伊平屋北部海丘での鉱物沈殿環境は,相対的に
f S2 が高い特徴を有する.一方,伊是名海穴の磁硫鉄鉱と共生する閃亜鉛鉱のFeS 含有量は,24.9
〜33.6 mol %で,伊平屋に比べ著しく低いf S2 の環境下で形成したと考えられる.伊平屋北部海丘
においては,ヌクンダム鉱が黄銅鉱,黄鉄鉱と共生して産出する.この組合せはSugaki et al. 
(1975)
による300 および350℃での熱水合成実験結果と調和的である.硫砒銅鉱の産出は,伊平屋北部海
丘における鉱物沈殿場が,高いf S2 とともにfO2 も高い環境であったことを示す.
伊平屋北部海丘の硫化物の硫黄同位体比(d34S 値)は,+8.8〜+11.7‰で,熱水中のH2S のd 34S
値(+11‰)とともに,現在報告されている海底熱水系の中で最も高い値を示す.それに対して,
伊是名海穴の硫化物のd 34S 値は,+2.3〜+3.4‰と,伊平屋に比べ低い値を示す.沖縄トラフは酸

の火山活動が卓越し,海底には堆積物が存在する.これらの地質学的環境が,伊平屋北部海丘の熱
水系の高いd 34S 値に大きく影響を与えていると考えられる.
硬石膏および重晶石のd 34S 値は+21.8〜+25.1‰,d 18O値は+6.3〜+9.8‰で,海水硫酸(d 34S =
+21‰,
d 18O=+9‰)とは異なった値を示す.また,硬石膏と重晶石のd 34S,d 18O 値の変化は,それぞ
れ傾
向が異なる.硬石膏と重晶石は,鉱物学的特徴・流体包有物の充填温度から,異なったステージで
形成したと考えられ,沈殿ステージの違いが,硬石膏と重晶石の同位体比の違いに反映されている
と考えられる.鉱物沈殿場において,硬石膏の硫酸イオンは,酸素同位体交換の影響を受け,重晶
石の硫酸イオンは,酸素同位体交換,および硫酸還元反応の影響を受けたことが示唆される.
チムニーの成長過程については,様々な議論がなされているが,Goldfarb et al. (1983) によって

唱されたチムニーの成長モデルは,本研究により得られたデータおよび観察事項と調和的である.
本研究では,最も代表的な単一の煙突状チムニーの成長過程を熱水活動サイクルの観点からモデル
化する.



http://www.jamstec.go.jp/pdf/shinkai_pdf/shka22pdf/22_4.PDF

JAMSTEC深海研究 第22号
31
KR01-09沖縄トラフ航海で採取された海底堆積物の
堆積学的・岩石磁気学的研究
川村喜一郎*1 池原  研*2 藤岡換太



http://www.jamstec.go.jp/jamstec-j/shinkai/Dynamics/images/Okinawa/vent2.mpg
映像:沖縄トラフ伊平屋海嶺群北部の摂氏約300度の熱水噴出と生物群集、水深約970m 










トップへ
戻る